伊東制作所ブログ

ハッとしたものごとを書き残したい衝動


あまちゃん最終週 鈴鹿ひろ美リサイタル『潮騒のメモリー』の奥深さ

最終回まで大盛り上がりで、国民的ドラマになったNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』。
よいシーンは沢山あったけど、最終週の9月25日放送分(第153話)が個人的に最高だったのでメモ。

この回は、復興支援として北三陸を訪れた女優、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が初めて口パクなしでリサイタルを行うという、本作の白眉とも呼べる回でした。

彼女は、その歌声を聴いた赤ちゃんが泣き叫ぶほどの音痴。そのため、歌番組もレコードもすべて若き日の春子(小泉今日子扮する主人公天野アキの母親)が影武者として歌ってきたという過去を持ちます。
もちろんリサイタルの観客はその事実を知りません。視聴者はドキドキです。
しかし、ふたを開けてみれば、圧巻の歌唱でリサイタルは大成功!…というちょっと都合の良い筋書だったわけです。

野暮を承知でツッコミをすると、こういう時には「ゲネプロ」という本番と同様に行うリハーサルがあるので地元関係者が当日まで音痴を知らないということは考えにくいと思います。
そしてもちろん、超絶音痴の人が急にうまく歌えるようになるなんてこともないですよね。
まったくもって荒唐無稽だ!
でもみんな感動したんですよね。
 

twitterの声NAVERまとめ経由で引用)

なぜこんなに感動的だったか

それは、鈴鹿ひろ美が過去の自分を乗り越え、同時に本作を通じて見え隠れする青春の挫折、すなはち”若春子の亡霊”をも救った瞬間だからだと思うのです。

そして「こんな話ありえねー」というこちらの雑念も吹き飛ばす、鈴鹿ひろ美本人が紡ぎだした「三代前からマーメイド 親譲りのマーメイド」という歌詞の力。
さらに、薬師丸ひろ子本人ともダブって見える、プロのエンタテイナーが本番で見せる神々しさ。
これらをたたみかけられて感動しないわけはありません。
(などと一方的に力説しても、本作をご覧になっていない方には「なに言ってんだこいつ」という話でしょうけど…)

しかも翌26日の放送(第154話)では「鈴鹿ひろ美はデビュー以来わざと音痴に歌うという、苦渋の選択を続けてきたのではないか?」という可能性も示唆されます。
そんな背景もあり、過去に別のシーンで水口(松田龍平)に対し「泣くなら外で泣け」という冷徹な姿勢を見せた敏腕プロデューサー太巻(古田新太)まで、この日は男泣きしていたのではないでしょうか。

で、これらが、いつもの軽妙なコメディを下地にしながら、たった15分の朝ドラの放送枠の中であますところなく描かれていたっていうのが、恐ろしいです。

おまけ

リサイタルのバックバンドのギタリストとして、本作で音楽を担当されている大友良英さんがカメオ出演しているように見えました。
そして、Gibson SGというモデルを使っていましたが、グループ魂で宮藤官九郎さんが使っているのと同じギターではないかと思いました。
どっちも違ったらすいません。

2013年12月31日 追記

祝!鈴鹿ひろ美 天野春子 紅白出場!
 

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